版画を刷るという行為は版を紙で被うことで成立するが、シルクスクリーンは布を版で被って成立する。版木を用いて布に印刷するのは紙に刷るよりも以前から行われていた。
覆い被せることで見えてくるものがあるのではないか?
そのように考えた私は人間と同じくらいの大きさの布に漫画のキャラクター的なものを印刷し、人に被せてみた。被せてみると漫画的なキャラクターと実際の人間は比率が違うので布のキャラクターは人の形に沿って歪んだ。
「これは漫画の皮だ」と実際に被ってくれた人が言ったのを聞いて言い得て妙だと思った。「衣服は第二の皮膚である」という言葉もあるし、漫画が印刷されたTシャツはよく目にする。体に沿って歪んだ漫画を見ても脳内で平坦な画像を補完するからか違和感は感じない。歪んだ部分のみ抜き出し版画として印刷したら印刷物と版画の境界は見えてこないものだろうか。