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2022/油性木版画

commentary

ある日、存在しない漫画の本が作りたいなと思い立った。
このような版画を作っていて常々思うのだが漫画家は数百ものページを漫画で埋め尽くし1冊の本にしている。人間業じゃない。私にとっては1コマ分描くのでも青息吐息で大変なのにと。だもので漫画の本を作ろうと思っても私にはとてもとても終らせられそうにない。
だが、漫画本の1コマだけならばどうにかできそうだ。そうしてほぼ余白の漫画本ができた。
これは本なので触ることができる。触れられるということは対象に干渉できるということで読んでいる際は意識にないのだが、読者の手により本は歪んでいるわけだ。私が普段制作している版画は直接触るなんてまずあり得ないし歪んでいたら必ず指摘を受ける。印刷物と版画の違いはこういうところにもあるのかもしれない。

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