表現するということは他に「干渉する」ということであり言葉での表現は人間に対して行うものである。そしてそれは不特定多数の人間に対して行われる。 『繰り返し呼びかけます』の吹き出しの意味について、私は版画の複数性が作家の立場からすると、「鑑賞する」側に反復して刷る行為を表出しているように思えたのだ。 この作品では吹き出しのある人物は漫画的手法で制作し、それを注視するギャラリーは絵画的手法で制作した。 吹き出しの文字は、風化した看板を撮影し、使用した。それは、版画は印刷の一種であり、印刷とは情報を物体にすることにより印刷物は他の物体の干渉を受けていると考えたからだ。 本来情報として質量を伴わないはずの文字や版画作品が、物体として存在し続けることにより他の物体の干渉を受け、変化する。それはある種の暴力なのではないだろうか。